初めて”本物の”NFTの作品を購入しましたので紹介します

初めてNFTの作品を購入しました。

今回は、NFTのメディアの特性をちゃんと踏まえてアートとして利用し、成立するものに初めて出会えましたので、購入にいたりました。

せっかくなので紹介します。

その作品は、藤幡正樹氏の「001_tmp」(1989)という作品です。

この作品は、画像のレジェンド性、NFTとの融和したコンセプト、作家のNFT市場への理解、この3つがそろったパーフェクトな作品です。解説していきます。

画像のレジェンド性

藤幡正樹氏は、メディア・アートと呼ばれる分野のレジェンドといわれる人です。メディア・アートとは、コンピュータやデバイス、インターネットといったテクノロジーを表現の媒体として使ったアートで、1990年ごろより盛んに作られました。藤幡氏はその第一人者であり、メディア論における言説や活動は国内外でも広く知られている方です。

藤幡氏がMacintoshの初期の白黒ペイントアプリをつかい、これで絵画を書き始めたのが1985ごろだといいます。その頃の作品のうち、デジタルであるがうえに売りようがなかったヴィンテージのファイルを、このたび古いマックのフロッピーデスクから取り出して来たそうです。

それらの未発表作品が十数個あったのですが、とりわけ私の目をひいたのがこの作品です。早速画像をご覧にいれましょう。

「001_tmp」(1989)

藤幡氏自身の解説として、「極めて希少価値の高い、明らかな書き損じである。そもそもこのファイルが 30 年以上も生き延びたこと自体が奇跡であろう。そして明らかな当時のボールマウスの軌跡」

としており、たいへんヴィンテージな書き損じであることがわかります。001_tmpというファイル名からも途中保存感が漂います。

レジェンドのマックから発掘された30年前の書き損じファイル。まあこれだけで、ストーリーとして価値があります。

藤幡氏のMacintosh Plus。完動品で”ペイント”が動く

NFTと融和したコンセプト

今回は、その画像をNFTとして売り出すということになっています。その売り出し方がひとひねりあります。

このNFTは、同じ画像のものが複数枚つくられるいわゆるエディションという形になります(そういう意味で1画像=1トークンのNFTとはちょっとちがいますが)。

何枚発行されるかはまだきまっておらず、申込者の数だけトークンを発行してロックするそうです。価格は100万円を申込者の数で割ったもの。

100人の申込者がいれば、100トークンが発行され、それぞれ1万円。1000人いれば1000円です。申し込みは12末まで公募され、価格はそのときの人数で最後に決まるそうです。

こうして、一つあたりの価格をわざと下げていく。この画像に公開で値段をつけてもらう。でも申込者がふえると安くなる。というへんな価格決定で、作品の価値を問うとしています。

そもそもこの作品は単体のものではなく、「Brave New Commons 作品の価値について考える」というプロジェクトの一貫です。

画像ファイルに価値があるというより、その画像をつかって、NFT市場の仕組みにコレクターが参加することで成り立ちます。売り物は画像ではなく、その体験なのでしょう。

そういういみで正に体験自体を提供価値としているメディアアートの本流のプロジェクトといえます。

なお、トークン数がきまったあとは、NFTが発行されロックされます。そのあとは、Open Seaで自由売買とするそうで、そこで値段があがるかどうかも実験であり、このアートの体験の一部だそうです。

藤幡氏は、いったん作品の値段(単価)を下げて、そのあとはインフレする試みだ、というようなことを言ってました。

これはNFTアートではなく、NFTを題材にしたメディア・アートです。だから、これは紛れもない本物のアートなんですね。

作家のNFT市場への理解

さて、私はクリプトのプロでよくよくNFTは知っていますから、当然ながら意地悪な質問もなげかけました。

申し込みといっても、匿名とかで1000個申し込むんだけど、実体は私ひとりで、要するに盛り上がってるようにみせて、実体は私が全部トークンを持つみたいなことできますし、やりますよ。それをOpen Seaで売り抜けてババ抜きして儲けますよ。この市場はそんな市場ですから、この作品も市場もハックの対象です。アーティストの価格や市場にたいする問いへの、クリプト界隈からの返答があるとすればそれですから。

といいました。そうしたら、それはそれで面白い。それも含めて作品だとおっしゃっていました。

さ・す・が

さすがです。ということで、これが本物のアートだとおもい、納得して作品の購入を申し込みました。001_tmpを申し込んだのは私が最初。その後、何名か申し込みしてくれて、いまのところ5人以上になっているようです。ですから20万円以下では買えることは確定ですね。

作品申し込みですが、10/31(日)までやっている秋葉原の3331アートフェアのなかで、こちらの作品展示が有り、その場で申し込みできます。(その後は時期は未定ですが、ウェブで申し込みの公募も行うそうです)

とりあえず興味があるひとは、会場にいって申し込んでみてはいかがでしょうか?

ここだけの話、この001_tmpは人気が高く、有名なアートコレクション財団だったりも検討しているで歴史的な作品になるかもしれません。

歴史的な作品、みんなでかえば1万円くらいまでさがるかもで、お買い得かもしれませんね。

こういう作品をみつけてきて触れてコレクションする。アートコレクター冥利につきた日でした。

楽しいですね。

(12/15追記)web販売が始まりました。いまのところ9000円で買えるようになっています。下記からどうぞ。

https://mf.3331.jp/

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