レッド・ゾーン、グリーン・ゾーン、DMZビジネス

サトウヒロシ
6 min readMar 19, 2020

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武漢ではコロナの新規患者がゼロになり、制圧に成功したとの報道がありました。中国はコロナを克服しつつあります。

中国の報道は全て嘘だから信じないという反論が予想されますが、そういう陰謀論はいったん置いておきます。

もちろん今後の中国でもずっとゼロというわけにはいかず、今後も単発の再発は起こるでしょうが、いずれも直ぐに隔離され、調査され、大きなアウトブレイクにはつながらないような検査・社会体制になったと思います。

さて、こうした封じ込めが成功したあとの中国はどうなるのでしょうか。

私が、2月のはじめに中国はいかなる方法をつかっても封じ込め、新規患者をゼロにするまで手を緩めないだろうと書きました。

すると、多くの反論がありました。すべて同じ論点です。

「コロナウイルスを永久に封じ込めることはできない。新規患者をゼロにしても、またすぐ海外から入ってくるし、人の流入は止めようがないから、結局無意味だ」

というものです。最近は、この論理は、集団免疫作成のほうが優れている論拠につかわれています。

「人の再流入はさけられないのだから、集団免疫による収束しか選択肢はありえない」

という主張です。

レッドゾーン、グリーン・ゾーン

この反論を聞いて、私の頭の中では、瞬時に、レッド・ゾーン国、グリーン・ゾーン国のアイデアが浮かびました※1。

レッド、グリーンについてはダイヤモンド・プリンセスの隔離の話でもうおなじみですよね。レッドは感染疑いのひとが存在するゾーンで、グリーは確実に感染者がいなノーウイルスゾーンです。

これが、国単位で区分されるだろうということです。

つまり、新規患者をゼロにしても海外から流入したら終わりということではなく、海外からの渡航は禁止されるということです。

中国では、莫大な犠牲をはらってコロナを制圧しました。すでに街には平時の雰囲気が訪れて、商店やレストランが開き、人々の生活がもどってきているとの報告があります。

そこに海外からの観光客などは居ませんが、それでも十分に外食などの経済はまわりつつあります。なにより、人々が安心していつもの経済活動に戻れるようになりつつあることは、大事なことです。

中国の経済は3ヶ月ほどの厳しい時期がありましたが、今後は盛り返して、今年で世界で唯一のプラス成長になるかもしれません。

中国では国境を閉鎖したままでも、内需で経済が回るでしょう。

これに加えて、厳格なコロナへの対処方針をみせている、シンガポール、香港、マカオ、台湾などの国が加わります。それらの居住者・パスポート保有者の間では、徐々に行き来が復活するでしょう。

一方で、他の国は余談をゆるさない状況にあります。統制のきかないアメリカ。先がみえないヨーロッパ。日本では、感染者は少なくなってきていいます、まだピークアウトがハッキリしたわけではありません。自画自賛が目立つのが気がかりです。

日本の患者数が減ってもレッドゾーン認定はつづく

さて、日本の感染者がこのまま少ない数字で推移したときに、日本はこの中国ーシンガポールー台湾ー香港・マカオの経済圏に参加できるでしょうか?

答えはノーです。ひきつづき、日本からの渡航は著しく制限されます。

理由は簡単です。日本が集団免疫戦略をとっているからです。この場合、日本はコロナの患者が少なくても、つねに何処かにいる可能性は否めず、汚染国あつかいのままです。

重要なので繰り返します。コロナ患者の数が重要なのではなく、国の方針が重要なのです。常にコロナ患者がいつづけることを許容し、検査や、厳格な追跡体制のない国は、いかにコロナ患者の数が減ろうとも、レッド国認定のままです。WHOは、繰り返し、「感染の疑いがある全ての人に対し、隔離、検査、治療と感染の追跡を行うことが集団感染を防ぐ一番の方法」だとっています。※Yaho News

日本と中華圏との行き来がなくなりますから、いままでのインバウンド需要はごっそり全てなくなります。中国人は日本にいったら帰ってこれず一方通行になってしまいますから。日本から中国企業は一時撤退し、支店などもなくなっていくでしょう。

韓国はどうにか今後封じこめて、中華経済圏に仲間入りしてもらおうと必死です。

日本では、国内に視点が閉じがちです。国際的な関係を俯瞰すれば、また違った視点をもてるはずです。

今後の国境管理はどうなっていくのか?

さて、現在の国境管理の話に立ち戻りましょう。

ここのところ、これらの中華圏居住者が、不要不急の用事で日本に戻ってしまったが、そこから中華圏に入国できず困っているという話をちらほらききます。とくにシンガポール居住の日本の起業家やビジネスマンは多いですから、そうした話題をきくことがちらほらあります。

一時的なもので、1,2ヶ月して落ち着いたら戻れると考えているようですが、いままでの推論を適用すると、甘いという結論になります。

日本のレッド国認定は(ワクチン登場または政策変更まで)ずっと解除されることはありませんので、2年、3年のスパンで帰れない可能性が有ります。

すでに、外国人が入国するためには、PCR検査で陰性の証明書を提示する必要がある国がちらほら増えています。日本では、症状があるひと以外にはPCR検査はおこなわない方針のため、お金をはらっても検査がうけられない可能性が有ります。つまり、証明書が手に入らず、どうやっても入国できないということになるかも知れません。

ですので、入国後14日間の自宅隔離だけというまだ緩い条件のうちに、これらの国の居住者は、戻られることをおすすめします。私の予言は良くあたりますので。

さて、ここまで読んで、本当に勘のよいひとは、レッド、グリーンだけではないことが予想できるとおもいます。

そうです、DMZです。非武装地帯の略で、韓国と北朝鮮の間38度線のところにある非武装地帯は誰もがご存知ですよね。

DMZは、国際的な検疫ゾーンになります。たとえば、カンボジアなどの国がDMZをもうけて、レッドゾーンから国際的な渡航客をうけれます。無条件で渡航できますが、DMZ内に滞在し、14日間の自己隔離を行います。隔離といっても、リゾートホテルなどの施設を活用し、滞在にはストレスなく過ごせるわけです。14日後に、PCR検査がうけられ、医師の診断書もえられます。そうして初めて、中国やシンガポールなどに向かうことができるというわけです。

国際リゾートなどの観光業は死にませんが、DMZとして生まれ変わります。

以上、信じがたい未来ですが、合理的な推論を重ねるとこうなるしかありません。現実にならないことを個人的には祈っています。

P.S.

もしかして日本国内にも海外渡航者用のDMZが生まれるかもしれません。観光はダメだではなく、このような視点で捉えていればビジネスチャンスは幾らでもあります。

※1(当初はコロナ国、非コロナ国と書いていました。藤沢和希さんが同様の表現でレッドゾーン・グリーン・ゾーンと書かれていて、そちらのほうがセンスいいので以後私も言い換えました)

追記)4/22 タイトルをわかりやすいものに変更しました。

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